図書室のラブレター



──ガタッ



目の前にある古びた鉄の扉。


重くて冷たくて、開きにくい。



───ガタガタッ 



無理矢理こじ開けた扉。



そしてその向こう側に
何かが見えてくる。



私の眼に
飛び込んできたもの。



それは異空間の世界だった。




「花井…君?」




確かめるように囁いた言葉。


たったその一言がその場にいた
2人の視線を集める。


その感覚をハッキリと感じた。




薄暗くてタバコの匂いが
充満していて、お酒臭い。




そこは明らかに
不良の溜まり場だった。




『私が来てはいけない場所』




今さら
気が付いても手遅れだ。


< 52 / 293 >

この作品をシェア

pagetop