図書室のラブレター
悪い噂しか聞かない彼。
例えば、この前やくざと戦って
圧勝したとか。
近くにある不良学校に
ひとりで乗り込んで片っ端から
ぶちのめして来たとか。
裏社会で
賭博や博打をしてるとか…。
そんな噂があとをたたない。
だから誰も近寄らない。
彼に近寄ってくるのは
やっぱり不良だけ。
でも最近、ここ2週間ぐらいは
なぜか毎日この古くさい
図書室に顔を出していた。
やっぱり毎日どこかを
ケガしてるみたいだけど。
(…また来たんだ)
ここに来て暴れるわけでも
脅すわけでもなかった。
だからといって
本を読むわけでもない。
ただいつもと同じ
大きな窓のそばに座って
外を眺めているだけ。