図書室のラブレター
Truth―真 実―
廃屋から出ると
もう日が暮れていた。
携帯電話も圏外じゃなく、
アンテナが3本たっていた。
2人はあんまりよく見えない
月の夜に河原を歩いていた。
「………」
「………」
でも、さっきからずっと
無言の2人。
その異様な空気に
息が詰まりそうだ。
苦しいよ…。
「あ、あのさ…」
話しかけようと
一歩勇気を出す。
「…何!?」
さっきから機嫌が悪いのか
半分キレ気味な返答だ。
私は何も言い返せないまま
二歩後ろに戻りたくなった。
絶対にあの人に
名前を教えちゃったからかな。
…違った。
もともとは最初に
私が怒らせちゃったからだ。