蜂蜜男子の誘惑~右にバニラ 左にチョコ~

「うっ右京くん、そんなっ……彼女の答えも聞かないでそれはちょっと」

「あの、なにがですか?」

(もしかしてさっきの『答え』かな)

「なに? 聞いてなかったの?」

 右京先輩の表情が変わり、声のトーンが落ちる。

「っ……えっと、ごめんなさい」

 右京先輩のことを考えていて話を聞いてなかったのは反省……だけど、少しショック。先輩の今の言い方は、いつもと違う。いつもは、もっと優しいのに。

「じゃあもう一度話すね」

「お願いします」

「ボクはいわゆる芸能界の人間でしょ? だからなんだろうけど、左京が僕の兄弟ってだけで変な女につきまとわれたりするんだ。 ボクがそうなるのは仕方ないけど、左京は別。 おかしいよね?」

「は、はい」

(……? 話がみえない)

「だからね、由依ちゃんにお願いがあるんだ」

「え? お願い、ですか?」

「うん、そう」

「なんですか?」

「付き合って欲しい」

「へ……!?」
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