蜂蜜男子の誘惑~右にバニラ 左にチョコ~
「それでね、由依ちゃん。 由依ちゃんって彼氏いるかな?」

「かかかかかかれっしですか!?」

「そ。 カレシ、お付き合いしている人」

「いまっいません!」

「今、いない? ってことは前はいたんだ?」

「へ……あ、いえ……ちがくてっ」

「ん? どういう意味?」

「あーあのっ」

(うわー……言葉につまったなんて言えないっ)

「……あー!」

 ポンっと古典的な動作で先輩が『わかった!』を表現し、微笑む。

「うん。 緊張してたんだね、ごめんね」

「いえ、全然!」

 そう言って先輩はあたしの頭に軽く手を置くと、「いいこいいこ」と呟いて撫でてくれた。

(恥ずかしいっ! でもっど、どうしよう……なんか嬉しくて叫びたい)

 真っ直ぐに先輩が見れずうつむいてしまう。

(むぐっ! なんか涙出てきた……)
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