蜂蜜男子の誘惑~右にバニラ 左にチョコ~
「左京、由依ちゃん、連れてきたよ。 この子だろ?」

「ん……」

「え、あの……先輩?」

「ああ、ごめんね。 こっち、柚木 左京(ゆのき さきょう)」

「あ、初めまして」

「初めまして、こんなところまで申し訳ありません」

「え、ああっいえ! こちらこそっ」

(ん? なんか変じゃない? なんで礼してるんだ?)

 思わずつられてお辞儀してしまう。

「あははは、可愛いな、ふたりとも」

「右京くん、もしかしてなにもお話しして……」

「ないよ」

「!!」

(? なんのこと?)

 首をかしげ、瞳をキョロキョロ動かす。

(……ん? あれ? いま紹介された名前……) 

『ああ、ごめんね。 こっち、柚木 左京』

 柚木 左京。脳内でリピートしてみる。そしてリピートしつつ瞳をキョロキョロと動かすと、先輩と目が合う。

「ん? どうかした? 由依ちゃん」

「い、いいえ……ってあれ?」
 
 ふたりとも苗字が同じ。名前も似ている。顔は似ていないがスタイルも良いし立ち姿も似ている。

(まさかッッ)

「ゆ……柚木先輩?」

「ん?」「はい」

 目の前のふたりが同時にあたしを見る。

(や、やっぱりッ!?)
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