蜂蜜男子の誘惑~右にバニラ 左にチョコ~
 うんうんと頷くあたしに、右京先輩が人差し指でおでこをつつく。

「こぉら、由依ちゃん。 話聞いてる?」

「うわぅっ」

「フフ、面白い声。 でも無視した由依ちゃんが悪いんだからね、ほら反省」

 腕を曲げてズイっと差し出され、思わず――

「はい! 反省します!」

 そういって、右京先輩の腕に手を置いて頭を下げた。

「…………クッ」

(……へ?)

 人をバカにしたような、喉で笑ったような声。

 その声に弾かれ顔を上げるが、そこには右京先輩の甘い微笑みだけで、斜め後ろには左京先輩がおろおろして立っていた。

(聞き間違い……?)

 ポンポンと耳を叩き、元の位置に戻る。

「どうしたの? 由依ちゃん」

「ひょっ!!」

 いきなり目の前に右京先輩の顔が出てきて、驚いて後ろに飛んでしまう。

 心配してに覗き込んでくれたのか、少し膝を折ってかがんでくれている。

(やっぱり優しいな……)

「すみません、大丈夫です!」

「そ? それなら良かった。 じゃあ、答えを聞かせてくれる?」
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