蜂蜜男子の誘惑~右にバニラ 左にチョコ~

「ごめんごめん、左京の髪さ、すっごい柔らかくて真っ直ぐで触り心地いいんだよ? 今度触ってみて、由依ちゃん」

 右京先輩が戻ってきた。

「本当にごめんなさい。 右京くんは動物が大好きで、なかでも手触りの良い毛を触るのが好きらしくて」

「は、はあ」

(ようするに……タオルのみみの部分を触るのが好きとか、犬猫の肉球が好きってのと同じもの?)

「こんなイイ髪してんのに、左京は面倒だからって言って、起きたまま来ちゃうんだよね。 もっとケアしたらもっとイイ髪になるのに」

 そういえば左京先輩は、さっきよりも髪型が整っている。右京先輩が触りながら手ぐしで整えたみたい。

(あれは天パじゃなくて、ほつれていただけだったのか)

 整えられた髪はサラサラしていて、彼の目が見え隠れする。

(うおぅ。 み、見えそうでみえないっ)

 見たいわけではないけど、なぜか必死になってしまう。

 やっぱり隠されていると気になってしまうもので……。

 気づかれないように立つ位置とかを変えて左京先輩を見つめる。

「んー……これだとOKそうだね。 良かったぁ」

「え?」
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