*―い じ め―*
あれから1ヶ月。
今日は卒業式。
あの後からは何もなくって……
みんなからのシカトだけだった。
シカトは前からされてたし、私は苦痛ではなかった。
でも…
藍と里沙はやっぱり、どこか辛そうだった。
「え――…
皆さんが過ごしてきたこの六年間を…――」
長い、校長の話し。
目に涙を浮かべている先生達。
後ろの方では、お母さん達がすすり泣く声が聞こえる。
なんで泣くの…――?
私には不思議でたまらなかった。
だって死ぬわけでもないし……
中学校に上がるだけだよ?
そんな事を考えている内に卒業式は終わった。
「「愛菜っ!!」
少し悲しそうな藍と、目が少し充血している里沙が、私の元へとやって来た。
「一緒に写真撮ろ?」
「あ!いいね――!!
愛菜も!ほらっ早くっ!」
私は藍に急かされた。
「まず3人で撮ろ!」
「誰に頼む…?」
「あっ!私のおばあちゃん!」
「えっ?里沙、おばあちゃん来てくれたの?」
「うん!お母さんは仕事で忙しいから……」
里沙は悲しそうな顔を浮かべた。
「里沙……」
「何よぉっ!シケないでよ~
おばあちゃんっ!!」
里沙のおばあちゃんは優しそうだった。
私達3人は写真を撮る事に夢中になって…
卒業式を終えた事なんて忘れていた。
ただただ……
3人で笑ったんだ。
今日の日の笑顔を、また3人で笑って見られることを祈りながら……。