*―い じ め―*
「あ……愛菜?」
「どうしたの…?」
2人は分かっていた。
愛菜が…。
いじめられている事を。
「とりあえず……
保健室、行こ?」
「そ、そうだね!!」
そんな藍と里沙を見て愛菜は言った。
「……こんな姿を見ても気づかないフリするのね……。」
「「……。」」
そう言う愛菜の声は、震えていた。
藍と里沙は愛菜を支え、立ちあがり……。
廊下に出た。
その時、愛菜の体が硬直した。
「え……?
どうしたの?愛菜。」
「ま……前…。」
と愛菜は前を指差した。
藍と里沙は指の先を目でたどった。
そして……。
その先に居たのは……。
「「恭華……、梨子……。」」
「ひっさしぶりいぃ――!」
「おっ!藍に里沙じゃん?」
「ひっ……久しぶり……」
「じゃあね!藍、里沙!」
そうして恭華と梨子は、
裏に回り、藍と里沙の間にいた愛菜に言った。
「仲間ができたと思うなよ。」
「このブスが。」
それだけ言って、恭華と梨子は去っていった。
しばらく3人は恐怖と圧迫感に耐えかねて、その場に立ち尽くしていた。
「行こっか……」
藍が口を開いた。
「うん……」
そう言って藍と里沙は放心状態の愛菜の肩を支えながら、
保健室へと向かった。