*―い じ め―*
最悪の事態。
里沙は決心したかのように拳を握り締め走りだした。
「ねぇ…藍ッ…」
虚しい沈黙を愛菜が破った。
「やばいよ…里沙…
今絶対…
死ぬって言わなかった……?」
「わ…私も聞こえたッ…」
「止めに行かなきゃ!
愛菜ッッ」
愛菜は藍を見つめてコクッと頷いて勢いよくトイレを出た。
「…どこに行ったんだろ……!!??」
「死ぬかもしれない場所……―――」
愛菜は頭の中で必死に探した。
“ここから落ちたら、このいじめから逃れられるのかなぁ……?”
6年生の時、
ふと口にした言葉。
場所は…――
「屋上だッッ!行こ!」
愛菜は勢いよく階段を駈け登った。
「…え…うんッ」
藍も早々と前に進んでいる愛菜を追いかけた。