灰となり、灰になる。
プロローグ
キーッ‥ドーン―‥。
街に響く鈍い音。
道路に広がる赤い液体。
隣に居る貴方。
「行かないで、行かないで!!!」
叫ぶ声は涙となり、
私の身体に落ちる。
どうして泣いてるの?
私は何処にも行かないよ‥?
あれ、身体が動かないや‥。
私、死んじゃったの?
痛い、痛い、痛いよ。
ねぇ‥助けて‥。
私は彼の頬に手を当てる。
触れない。
いつもの温かい体温が
伝わらない。
交通事故。
私は大切な人の前で
呆気なく死んだ。