聖花学園~花よ咲き誇れ~
「仕方ないな……とりあえず口止め料だ」


 聞き返す間もなく、流依さんの唇がわたしの唇と重なった。

「んっ!?」

 最初は何が起こったのか全く分からなくて、わたしはただ目を見開き呆然とした。

 でもすぐに正気を取り戻し、流依さんを押し返そうとする。
 そうすると胸板に手を置くような形になった。

 硬い胸板。

 その感触に、流依さんが男だということを実感する。



 最初にも言ったけど、わたしは地味だ。

 男の子と付き合ったこともなければ、キスもしたことなんて無い。

 そんなわたしが今キスをしている。



 男の子と。




 しかも、女でも通用するくらいの飛び切り美形に。

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