聖花学園~花よ咲き誇れ~
「…………」

「…………」


 わたしと流依さんは無言で廊下を歩いていた。
 流依さんは何故かわたしの手を引いている。

 何処に連れて行かれるのか、わたしはどうなってしまうのか。
 何の説明も無く引っ張られている。


 流石に沈黙が重くて、わたしはちょっと質問してみた。


「あの……どこに行くんですか?」


「学園長室だ」

 返事は意外とあっさり返ってきた。

「何でそんなところに……」

「説明のためだ。俺からより学園長からのほうがいいだろ?」


 ってことは、流依さんが男なのにこの学園にいるのは、学園長も許可してるってこと!?

 どうなってるんだろう。
 女子高に男なんて……。



 なんてまた黙り込んで考えていたら、流依さんが「こっちだ」と掴んでいる手を引っ張った。

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