さんかく、しかく。
プロローグ
「ねぇ、覚えてる?」

その言葉の先に
続くのは、いつだって
複雑な三角と四角。


でも、そのどれもに

確かに君はいたんだ。



僕達はただ、幼くて

道に迷っては引き返し
傷付け、傷付き

何度も罪を犯し

何度も嘘を重ね

ようやくここまで
辿り着いた。



長い髪を揺らす
やわらかな風に、
夏の匂いを感じる。

あれから何度か
夏を数えたけど‥



「ねぇ、覚えてる?」



今、隣に感じている
愛しい温もりに

初めて恋をした
あの夏の日のことを―‥
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