ばうんてぃ☆はうんど・vol.2~鷹の目の向こうに《改訂版》
国連ビルの前。入口周辺は、世界各国の無数のプレスが取り囲んでいる。
ここまでプレスが集まってんのは、もちろん会議の内容のせいなんかじゃねえ。国連大使が暗殺されるかもしれねえからだ。それも大国アメリカの。
もはや暗殺の疑いは、世界中のマスコミの周知の事実になっちまった。報道管制などは出してなかったようだが、敵が狙撃で狙ってくる以上、あえて大勢の人間を集まらせて仕事をやりにくくさせようとしたのかもしれねえ。
王相手に、効果があるとも思えねえが。
プレスの集団の外に止めたバイクのケツにまたがったあかりが、忠吉をいじりながら文句を言っていた。
「んなもん、終わってからいくらでもできるだろ」
「そおゆう問題ぢゃないから。ハンパに盛った分イタくなってっしょ? マジありえんてぃーだわこのデザイン」
忠吉を見せてくる。と言われても、俺にはどこまでがハンパで、どこから完成形なのかわからんが。
「だいたいお前、そういうアンティークにそんなもん貼り付けちゃマズイんじゃねえのか?」
「なんで? ただの刀ぢゃん」
「ただの刀じゃねえだろ。高いんだろ?」
「知らね。てかキョーミないし。切れ味はパねえけど」
「そんなに違うもんなのか?」
西洋のソードは『斬る』というより『叩き割る』感じで使うものが多いので、純粋な切れ味の違いというのは、俺達欧米人にはわかりにくい。
「そだなー。前使ってたのは石柱斬るくらいがやっとだったけど、忠吉ならよゆーで鉄骨いけちゃう? みたいな」
「ぶっ!」
「うっわサイアク。きったね」
思わず吹き出しちまった。
「お前、鉄骨なんて斬れんのかよ?!」
「ガチでいけるよ。『斬鉄』っての。昔の一流の侍なんか、マジフツーにやってたらしいし」
「昔のサムライは、ライトセイバーでも持ってたのか……?」
「まあ、あたしの場合は、忠吉があって初めて出来るんだけどね。おじーちゃんなんか、包丁で車斬ってたし」
「お前のじーさんはマスター・ジェダイか?!」
「いちいちスターウォー○に例えるのやめて欲しいんだけどー」
「お前知らねえのか? スター○ォーズは、ジョージ・ルーカスがジダイゲキからインスピレーション受けて出来た作品なんだぞ?」
「そこまで知らんし。てかマニアック過ぎ」
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