_愛の形_
「んーー…、好きです。って言われちゃった」
そう言って、私に見えるように自分の手を伸ばしピースサインを出すれいちゃん。
「えっ?また??」
驚きを隠せずに、運転中だということも忘れ、後ろを向く。
「ばーか、そんなに驚かなくても。てかあぶないから、前向け」
そう言って、言われた時にはれいちゃんの手が私がにぎっているハンドルを、私の手の上から持ち、急ブレーキをかけていた。
ドキッ
何故か私の心臓が大きく音を立てたのを、私は気づいていて、気づかないふりをしたんだ…。
れいちゃんはほっとしたように、
「ギリギリセーフ」
そう言って、笑ってみせた。
私は、前を向いた瞬間に、青ざめる。
急ブレーキをかけたそのちょうどまん前に、小さな子供がボールをもって、キョトンとした顔でこちらを見ていたのだ。
れいちゃんがブレーキをかけなければ、この子供は…
そう考えると、さらに顔が青ざめた。
「もー後ろを振り返るなよ」
そう言って、れいちゃんは、つかんでいた手を離し、子供に小さく手を振った。
私がしばらくぼーっとしていると、れいちゃんは不思議そうに私の顔を覗き、
「姉貴?」
そう言ってくる。