イジワルだけど
「相変わらす、可愛くねえ奴」

そう言うと章は、ふんっと一つ鼻息を出すと眼鏡を上げた。

「どうせ可愛くないですよーだ」

彩未はプクーっと、ほっぺたを膨らせる。

どうせ私なんか可愛くないですよーだ。あんただってあの頃からすればぜーんぜーん可愛くないっつの。何よ、何よ! 小学生の頃は一緒に遊んで楽しかったのに、今はなんだ。喧嘩ばかりだ。喧嘩ばかりするようになったのは、いつからだったけ? たしか、中学校の入学からだったような気がする。あれはたしか――

『お前スカート、はいちゃって……。似合わないね』

『な、なんだと!? お、俺だって女の子なんだから、スカートぐらいはくし。てか、仕方ないだろ。中学はスカートなんだからっ!』

私はギュウっとスカートをにきだった。私は小学生だった頃、男言葉を使って髪型も男の子の様に短くしていた。何故かと言うと、父が可愛い格好をしていると誘拐されるかもしれないと心配して、女の子の格好をさせてくれなかったからだ。そして、最近の女は強くてはならないと言い、剣道を無理やり習わせられた。酷い話しである。

『そ、そんなに似合わない?』

『……女の君なんか嫌いだから、今日から話しかけないでくれよ』


章は酷く冷たい声でそう言うと後ろを振り向いて私の前から姿を消した。私は章に何も言い返せなかた。

『なんだよっ!俺が……いいや、私が女だから、嫌いになったのかよ』

私はポツリと誰も聞こえない声で言った。

入学を祝福するピンク色桜の花弁に悲しさを増された。

――そうだ、あの時から敵対関係になり、喧嘩ばかりすりようになったんだ。

たまに自分が女の子じゃなかったら白木とはとっても良好な関係だったんじゃないかななんて思うことがあったりする。今の白木は嫌いだけど昔の白木は好きだから。
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