SAKURA
「だって…、ゆずちゃんが、あたしの親代わりだもん…。
五年間、姉妹二人だけで生きてきたんだもん…。」
あたしはそれだけ言うと、下を向いて口を閉ざした。
「あ…、そっか…ごめん、あず…。」
アサミは罰が悪そうに口を抑えて、下を向いた。
「……。」

ガラッ。
会話が続かなくなった直後、教室に先生が入ってきた。
「ほら、あなた達!席に座りなさい!
転校生紹介するわよ!」
「あ…っ、先生来ちゃった…。」
あたし達は、慌てて自分の席に戻る。
席についたあたし達を確認して、先生は扉のほうを見る。
「樋口くん、入ってきなさい。」
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