SAKURA
(あれ?聞こえなかったのかな?)
「ねぇ、どっから来たの?」
あたしは笑って話しかけた。
「……。」
それでも頬杖ついたまま、こっちを向かない。
「……ねぇ、聞こえてる?」
あたしは少しムッとして聞いた。
「……。」
それでも転校生は答えない。
「ちょっと、聞こえてるの?聞こえてないの?」
「……。」
転校生は、こっちを見ない。
「ちょっと!少しは答えたらどうなのよ!?」
ガタンッ!
あたしは声を上げて、席を立ち上がった。
「どうしました?桜井さん?」
出席を取っていた先生が、あたしの声に出席を取る手を止めた。
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