無色の日の残像
piece.3 海と大気と
いつの頃からだろう。
自分と、自分の操る機体に、奇妙な呼び名がついたのは。
戦姫。
戦場のかぐや姫。
覚えていない。
気がつけばそう呼ばれていて、第171特殊戦術分遣隊という異端の中でも更に異端の、切り札として扱われるようになっていた。
何とも思わなかったその呼称を、恐ろしく感じるようになったのは──嫌だと感じるようになったのは──。
いつからだったかはっきりと覚えている。
あの夏の終わりの日々からだ。
海と空の間で変な人間たちを拾って、変な人間たちと一緒に数日を過ごした──二年前のあの奇妙な時間からだ。
緊急出撃の命令を受けて、新島無色は汎用攻撃機『輝神』で目的地へと急いでいた。
彼女が【カグヤ】と名づけたこの黒い戦闘機は、もはや体の一部と化している。
速く、速く──。
無色の心の逸りをつぶさに反映して、【カグヤ】は弾丸の如く夜空を翔る。
自分と、自分の操る機体に、奇妙な呼び名がついたのは。
戦姫。
戦場のかぐや姫。
覚えていない。
気がつけばそう呼ばれていて、第171特殊戦術分遣隊という異端の中でも更に異端の、切り札として扱われるようになっていた。
何とも思わなかったその呼称を、恐ろしく感じるようになったのは──嫌だと感じるようになったのは──。
いつからだったかはっきりと覚えている。
あの夏の終わりの日々からだ。
海と空の間で変な人間たちを拾って、変な人間たちと一緒に数日を過ごした──二年前のあの奇妙な時間からだ。
緊急出撃の命令を受けて、新島無色は汎用攻撃機『輝神』で目的地へと急いでいた。
彼女が【カグヤ】と名づけたこの黒い戦闘機は、もはや体の一部と化している。
速く、速く──。
無色の心の逸りをつぶさに反映して、【カグヤ】は弾丸の如く夜空を翔る。