無色の日の残像
 光学モニターに、敵の輸送機一機の姿が映し出された。

「目標を確認。これより撃墜する」

 通信を切って、無色は一気に敵機との距離を詰めた。

 東側の複数の軍事・非軍事施設に対する、西側の無差別同時爆撃。

 この情報を知らされた時──そして標的とされている施設の中にこの島の病院が含まれているのを知った時、無色は戦慄した。

「あそこには──あそこには──透明がいるんだ」

 背筋が凍った。

 敵の輸送機が、【カグヤ】の急速接近に気がついて攻撃してきた。

 高いステルス性を誇る『輝神』はレーダーでも捉えづらく、しかも夜間急襲に適した漆黒の機体は目視も難しい。

 何より、近接戦闘における機動性は、相手の予想を遙かに上回る。

 あっさりと敵の砲火をかいくぐり、無色は至近距離から機関砲の攻撃を食らわせる。
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