夢にで荘
ルーキーは何も言わずに出ていった。




誰も居ない部屋にコンセントのコードをズタズタにした扇風機をただ一つ残して、




「ルーキー・・
ルーキー」




ルーキーが居なくなった晩、健ちゃんは一晩中明さんの胸で泣いていた。




ふと見えた表情が余りにも嬉しそうだったので、やっぱり猫より生身の男がいいんだなぁと呆れた。




それでも仕事帰りに必死でルーキーを捜している健ちゃんの姿は愛情に溢れていた。




結局ルーキーには届かなかったけど。
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