先生とあたしのヒミツな生活♪


「逃げないで下さい」

「俺にはもう母親は必要ない」

「ちゃんと向き合って下さい!」



シーンと静かな教室。


まだチャイムは鳴っていない。


聞こえてくるのは窓やドアの隙間から入ってくる風の音だけ。


「先生は、冷血なんかじゃないんです」


周りの子たちが言ってた。

先生の目は怖いって。


初めはあたしだって薄情者とか
超がつくほどの冷血人間だって思ってた。


でもそれは違う。

「先生はただ、怖いだけなんです」

「怖い・・」

「そう。先生は人と関わるのが怖い、それだけなの」



怖がらなくてもいいの。


だからもう逃げないで?


もう、そんな悲しい顔をしないで?


きっともう誰も裏切ったりはしないから。

あなたは一人じゃないんだから。


「きっと誰も裏切らないと思います。
だからもう一度、お母さんと向き合って下さい」


きっともう大丈夫だから。


「もし、お母さんがもう一度裏切ったら
・・あたしが殴りに行きます」

「先生の事傷つけるような人がいたら
あたしが説教してやります」



だから

だから


もうそんな顔しないで?




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