僕様王子に全てを奪われて
「嫌だあぁぁ!
痛いのは…もうイヤぁだああぁ」

私は大声で叫んだ

額から流れおちる汗を、有栖川は手の甲で拭ってニヤリと笑う

「痛くないって言ってるでしょ」

「嫌だ…絶対に痛いもん
スイカが鼻の穴に入るくらい痛いって聞いたもん」

「『もん』って…実際に、スイカは鼻に入らないでしょ!」

「それくらい痛いって…」

私がバタバタと暴れていると、玄関のドアががちゃりと開いた

紺色のスーツを着ている冴子が、廊下で有栖川に抑え込まれている私を見て『ぷ』と噴き出した

「あれ…もうそんな時間?」

「ええ」

「残念」

有栖川はすっと立ち上がると、自分の部屋に入ってしまった

え?

なに…そのあっさりテイストは…

「下着の効果はあったみたいね」

冴子がにっこりと笑った

あ……

私は顔から火を引き出しそうになるくらい熱くなると、近くにあるTシャツで胸を隠した

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