僕様王子に全てを奪われて
教室内に入ると、花の良い香りが漂ってきた

ああ…心安らぐ匂いだぁ…

懐かしいなあ

この匂い

この空間

花に囲まれた生活…って、私はもう花はやらないって決めたのに

私は一番後ろの席に座った

女性陣たちは、こぞって前のほうに座っている

全部で15人くらいかなあ…

男性が2人

あとは全員女性かあ…

…って女性率たかっ…

さすが有栖川!

華道界のプリンスだあねえ

「君、見学者さん」

え?

男の人の声に、私は顔をあげる

「あ…はい」

違うけど…ま、説明するの…面倒くさいし

「俺、高波って言います
君は?」

「あ…滝沢愛子です」

「愛子ちゃんって言うんだ」

高波さんがにっこりと微笑んで、私の隣に座ってきた

え?

なんで隣?
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