僕様王子に全てを奪われて
「あっ! もしかしてここって、高波さんの席なんですか?」

私は立ち上がる

「いやいや、席は毎回自由だから…
俺が、愛子ちゃんの隣に座りたかったっていうか」

え?

だから、何で?


ま、いいけど

背筋にぞわっと冷気を感じて、私は振り返った

深緑の和服姿で立っている有栖川が、じぃぃっと私を見ていた

こ…こわっ

目が座ってて、怖いんですけど?

見学はまずかった?

「あ…あの人が有栖川先生だよ」

高波さんが教えてくれた

…て知ってます

毎日、見てますから…とは言えないけど

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