僕様王子に全てを奪われて
「小さいから見えないかもしれないわね
こちらの席をどうぞ」

前列の端の席にいた冴子が、隣を指さした

え?

もう…冴子まで

目立ってるじゃないの

「あはは…す、すみません
小さくて…」

私はこそこそと立ち上がる冴子の隣に腰を下ろした

『聖一郎さんが嫉妬してたわよ』

冴子が耳元で囁いた

はいい?

私は冴子を見た

冴子はにっこりと笑って、有栖川のほうを見るように視線で訴えた

「せっかくの見学者さんですからね
じっくり見て行ってください」

「ど、どうも…」

もう!

放っておいてよ

「さあ、授業に入りましょうか」

有栖川がにこにこ笑顔で、生徒さんたちに視線を動かした

はああぁぁ…

息が苦しい…呼吸困難になりそう

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