僕様王子に全てを奪われて
こうやって実際、現場で活躍している有栖川を見てしまうと…

なんだか遠い人のように感じるなあ

…って実際に遠い人なんだけど、ね

私はもう、華道の世界から出ていった人間だから

有栖川と冴子の努力が、この教室に詰まっているんだと思うと

私は敗北して当たり前だったのだと感じる

深く納得できてしまう

悔しいとか

後悔とか

そういう気持ちは全く生まれない

だって

勝負になってないんだもの

私は何もしていないから

ただ昔からある名前だけで…生きてきた

花を生けるのは好きだったけど

それは趣味として…で

華道ではなかった

華の道ではなかったんだよね

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