僕様王子に全てを奪われて
その点、有栖川と冴子は違う

華を道を突き進んでいる

私は、華道界から姿を消して良かったと思う

やっぱり努力をしている人間こそが、トップで頑張っているのが見ていて気持ちがいいもんね

「惚れ直した?」

有栖川が耳元で囁いてきた

ちょ…授業中に何を言い出すかと思えばぁ…

「はいいぃ?」

私は眉に力を入れると、有栖川の顔を見る

有栖川はにやっと微笑んでいた

最初から、惚れてないからっ!

「見学者さんも花を生けてみますか?」

「え? …いえ、私は…」

私は両手を出して、否定をする

だって…私は、花はもう……

それに教材費だって払ってないのに

まあ、払うとなったら…有栖川の懐からになるんだけどね

私、一銭も持ってないので!

「そうねえ…今日は一人お休みの方がいて、お花が余っていますから」

冴子が隣で、押しの一手を出す

いや、だからぁ…私は…
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