僕様王子に全てを奪われて
有栖川がにっこりと微笑んだ

「嫌だからです」

「はい?」

「コンビニ以外に何のバイトをしているのでしょうか?
すべて辞めて、僕の仕事を手伝ってください」

「お断りします」

「…なら、仕方ありませんね
アパートの大家さんに愛子さんを追い出してもらって僕のところに…」

「ちょっと!
何が目的なの?
私を苦しめてそんなに楽しいわけ?」

私は有栖川を睨んだ

頭2つ分大きい有栖川を見上げて、私は大きな声を出す

「必死に働かなくても、僕のそばにいてくれれば、お金に困るような生活はさせませんから」

「何よ、それ…」

「つまり僕の女になれってことですよ」

私は目を見開くと、有栖川の頬を平手打ちした

「馬鹿にしないで!
こんな生活に追い込んだのはアナタでしょ」

有栖川が肩をすくめる

「だからその責任を僕がとってあげます
この先一生、お金に不自由しない生活を保証します」

有栖川が満面の笑みで私を見つめた

な、何よ!
私を馬鹿にしないでよ
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