僕様王子に全てを奪われて
逃げろ…有栖川から
『つまり僕の女になれってことですよ』

『だからその責任を僕がとってあげます
この先一生、お金に不自由しない生活を保証します』

馬鹿にしないでよ…

「私に喧嘩を売ってるの?…ってあれ?
夢、か」

私は畳の上で、目を覚ました

身体には薄い毛布が一枚かかっている

昨日の出来事が強烈すぎて、夢でも同じ体験をしてしまった

「夢見…わるっ」

キャミに短パンで、立ち上がると私は首の後ろを掻いた

「ホントに貧乏女ね~」

ぼろぼろの畳の上に、丸まっている毛布を眺めた

クーラーもない

扇風機もない

風通しの悪いワンルームのアパート

暑いのなら、まだ我慢ができる

これで冬になったら?

凍死まっしぐら?

暖房器具もないし、布団なんて薄い毛布だけ

< 13 / 235 >

この作品をシェア

pagetop