僕様王子に全てを奪われて
「ああ…意地でも竜ちゃんの傍から離れなければ良かったかな?」

キッチン兼洗面所の前に立つと、私は手鏡で己の顔を見た

「ぶっさいく」

腫れぼったい瞼に、ぼさぼさの髪

荒れている肌

鼻と頬には、そばかすが無数に散らばっている

昔は化粧でそばかすを隠していたけど、化粧品を買うお金さえ

今の私にはない

貯金を切り崩せば買えるけど…

無理

これからどんな生活になるかわからないのに

生命維持に必要なモノ以外にお金はかけられない

幼馴染の竜ちゃんの許婚だったのにな~

貧乏から脱出する予定が…さらに貧乏に足を突っ込んじゃったよ

仕方がないよね?

竜ちゃんには好きな人ができちゃったんだから

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