僕様王子に全てを奪われて
「席を長く開け過ぎです
夕食はいらないんですか?」

有栖川が怖い顔をして口を開いた

私は有栖川の前で足を止めると、乾いた笑いを立てた

「こ、こんなところで、莉子さんのお兄さんに会うなんて思わなかったから」

私は振り返って、勇人さんの去っていった場所を見つめた

「莉子さんって?」

「竜ちゃんの恋人
あの人、莉子さんのお兄さん…みたい」

「…それにしては楽しそうに話をしていたみたいですね」

「あ…まあ、悪い人じゃなかったから」

話しやすい感じの人だったなあ

ノリがいいっていうか

冗談が通じるっていうか

将来、あの人が竜ちゃんのお兄さんになるのかな?

楽しそうだなあ

「あんな暗いところで…人影に隠れるようにして…」

むかっ

何、その言い方!

< 141 / 235 >

この作品をシェア

pagetop