僕様王子に全てを奪われて
私がどんな足掻いても、たぶん竜ちゃんの気持ちは変わらないってわかったから

それだったら

さっさと家を売り払って、お金にして…

働きに出たほうがいいって思ったんだよね

「だからって…こんな貧乏暮らしだとは思わなかったけど」

100均で買った櫛で、髪を一つに纏めると歯磨きをして顔を洗った

洗いたてのシャツに着替えると、私はコンビニのバイトに向けて、出発した

携帯も解約しようかな…

連絡する相手もいないし

あっても不必要っていうか

でもバイトをするには、何か連絡方法がないとダメだし

携帯は解約できないなぁ…

携帯?

あ…そういえば有栖川からもらったメモ用紙ってどうしたっけ?

私は歩道を歩きながら、鞄の中をがさごそと漁った

鞄の底から、くしゃくしゃになった有栖川のメモが出てくる

携帯の電話番号とメールアドレスが書いてあった

その紙を見ているだけで、私の腹の底からぐつぐつと怒りが煮え立ってくる

「ふん! 誰が連絡するか」

私はまたメモ用紙を鞄に突っ込んだ
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