僕様王子に全てを奪われて
「それでも行きたいんです」

今、行かないと

愛子さんが泣いているから

僕が行って、愛子さんを抱きしめてあげないと…

「聖一郎!
貴方まで、父親と同じ過ちを犯すと?
この私に泥を塗るのですか?」

「僕はまだ誰とも結婚をしてませんから
父とは違うでしょ?」

「同じよ
滝沢の女に生気を吸われるのよ」

吸われてないしっ!

きちんと仕事もしている

僕は父とは違うし、別の人間だ

僕を父と重ねるはやめて欲しい

「飯島、どうして聖一郎の好き勝手にさせてるんですかっ!」

僕の後ろにいる飯島さんに、母上が怒鳴った

とても女性の声とは思えない低い声で、飯島さんを怒る

飯島さんがびくっと肩を動かして反応すると、背筋を伸ばして母上を見つめた

「も、申し訳ありません」

「貴方の責任よ」

「はい」

違うでしょ?

誰のせいでもないでしょ?

僕はずっと愛子さんを見てきたのを、誰もが知っている事実だよ

それに目と耳をふさいできたのは母上でしょ?
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