僕様王子に全てを奪われて
「あのぉ…今も痛い?」

「ええ…ほんの10分前の出来事でしたから」

「あ…ホントにごめんなさい」

私は深々と頭を下げた

「いいですって
今朝ので…もう少し頑張れそうですよ」

有栖川がにっこりと笑うと、起きあがった

え?

「あ…有栖川、えっと、その…」

「なんですか?」

有栖川が、ベッドに座ると私に振りかえった

「昨日のこと…」

有栖川の首筋に、視線がいってしまう

白いうなじが見えるんだけど…

有栖川の…うなじ…って、なんかドキドキする

「愛子さん」

「は…はい!」

私は、有栖川に名前を呼ばれて、声が裏返ってしまった

ああ…間抜けだぁ…

有栖川の手が私の頬を触った

「目が充血してて、瞼が腫れてますよ
冷やしますか?」

「え? …あ、うん」

私はこくんと頷くと、有栖川が立ち上がった

「氷をタオルで巻いてきますから、待っててください」

有栖川が部屋から出ていった
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