僕様王子に全てを奪われて
『服が必要なんですね…持ってきますから』

有栖川の冷たい口調が聞こえると、冷蔵庫を開けている音がした

そぉっと私はドアを開けると、廊下の先にいるであろう冴子の姿を見ようとした

だって…

だってさ

どんな格好しているのか、気になるし

有栖川が驚いて声をあげるくらいの格好ってどんなんだろう

「愛子さん、何をしてるんです?」

頭上から声がした

廊下が見えるはずなのに…私の視界には乱れた浴衣しか入らなかった

「え? …あ、いや…申し訳ないなあって」

「聞こえていたんでしょ?
飯島さんがいますから…」

「いますから?」

私は首を横にした

だって

有栖川の顔がみるみる真っ赤になっていったから…私は不思議に思った
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