僕様王子に全てを奪われて
じろっと私は有栖川の顔を見た

有栖川は私の視線に驚いたのか、ぎょっとした表情になる

「な…なんですか?」

「見たの?」

「はい?」

「冴子の裸…見たの?
恋人でもないのに…許婚でもないのに?
ねえ…見たの?」

「み、見ましたけど…何か?」

『そんなに見たいなら、アナタも見る?
聖一郎さんなんか、小さい頃からお互いの体を見合ってるわよぉ』

ドアの向こう側から、冴子の声が聞こえた

有栖川の眉間に皺が寄ると、ドアを睨んだ

「飯島さんっ!
なんで誤解を与えるような言い方しかできないんですかっ」

誤解?

与える?

どういうこと?

「とりあえず僕の服を着てからにしてください」

「だめっ!
イヤだ、絶対、有栖川の服はダメ」

「愛子さん?」

「嫌なの、私がっ」

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