僕様王子に全てを奪われて
「はあい! 聖一郎さん、お仕事のお時間です」

勢いよくドアが開くと声が冴子だけど、見た目が男の人が笑顔で立っていた

なんか…すごい違和感を感じる

有栖川の温かい手が身体から離れた

「また…仕事ですか…
別にいいですけど、ね」

有栖川が深いため息をついた

私はその場に、座りこんだ

「え? ちょ…愛子さん?」

慌てた有栖川が、私を支えてくれた

「あらあらぁ…そんなことで腰を抜かしてたら…最後までできないわよ?」

「飯島さん…お願いですから
その格好で女言葉はやめてくださいって昨日、言いましよね」

有栖川が私の腰を手を回す

いや…その触れ方も…ちょっと…困るんですけどぉ

私は立ち上がったものの、くねくねと腰を動かした

その姿を見ていた冴子が、『くす』と笑うと廊下の壁に手をついて大声で笑い始めた

その格好は、昨日レストランで見た冴子の立ち方と同じだった

ああ…やっぱり冴子だ

…って、なんで笑うのよっ!
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