僕様王子に全てを奪われて
「ああ…いえば、こう言う…面倒な女だな」

「面倒な女は嫌い?」

私は右肩をあげて、ウインクをした

勇人さんは、一瞬動きを止めると…ふかーいふかーいため息をついた

「はい、そこっ!
15歳のくそガキがっ…って思わない」

「本当に、面倒くせえ」

勇人さんが私から視線を外した

楽しい時間だよ

私には…とっても楽しい時間

高校は退学して、バイトも辞めて……

話す人は、有栖川か冴子しかいなくて…

日中は、広い家に一人きり

朝と夜にしか、有栖川と会えなくて…

寂しかったよ

ずっと寂しかった

考える時間ばっかりあって…苦しかった

「わかった
有栖川の教室に通えるかどうか聞いてみる」

私はにっこりとほほ笑んだ

「ちゃんと有栖川に話せよ」

「何を?」

「高波について・・・だ」

「え? 嫌だ」

「嫌だ…じゃないだろうがっ
あんたはまだ15歳だろ
有栖川にきちんと話せよ」

この人も…有栖川みたいだ

いや…有栖川のほうが何倍も優しいけどっ!

考え方が、有栖川みたい
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