僕様王子に全てを奪われて
「藤城君に何か言われたとか?」

有栖川が不安そうな目をした

「違う
竜ちゃんからは何も聞いていないよ
きちんと有栖川が話してくれるんでしょ?
なら、竜ちゃんから聞く必要はないから
そうじゃなくて…
私、高波を叩きたい」

「はあ?」

有栖川の目が大きく見開いた

あ…しまった

順序を追って話さないとって思ってたのについ…

「えっと…ほら…この前、竜ちゃんの恋人のお兄さんに会ったって言ったでしょ?
あれは、高波を調査してたんだって
んで、ちょうど私が高波から名刺を貰っていたのを見たから、声をかけて
いかに高波が悪いやつかを押してもらったの
んで、協力したいなあ…って思って」

「駄目です」

「やっぱり?」

「でも有栖川の教室の生徒さんたちが餌食になってるんでしょ?
そんなの許せない!
有栖川が頑張って経営をしている教室を、詐欺する場にされるなんて…頭にきてるの」

有栖川がふっと笑った

「そう思ってくれるだけで嬉しいです
ですが、それだけで充分です」

「私は、協力して欲しいわね
ぜひ…藤城竜之介の恋人は小山内莉子さん
…で、お兄さんといえば小山内勇人…彼が調査してるんでしょ?
こちらがお金を使わずに、処理をしてくれるなら…私はぜひやってもらいたいわ」

冴子が私の味方になってくれた
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