僕様王子に全てを奪われて
ダイニングテーブルを挟んで座っている有栖川がにこっと笑顔を見せた

「お風呂は?」

「は…入りたいです」

「一人で?
僕は二人で入りたいけど、愛子さんは?」

「え…っと、聞くんですか?」

「ええ、聞きます
ぜひ、答えを聞きたいですね」

意地悪だっ!

有栖川…意地悪だ

私をからかってるでしょ!

「まずは…お風呂のボタンを押さないとですね」

有栖川が、席を立って風呂場に向かった

すぐに有栖川が戻ってくる

私の後ろに立った上から、覗きこんできた

「見事ですね、その胸」

「そうそう、すごいでしょ!
谷間ができたんだよぉ」

「それ…高波さんの前では絶対に見せないでくださいね
僕の前だけで、十分ですから」

え?

これって焼きモチ?

有栖川がテーブルに手をつくと、私にキスをした

唇に熱くて長いキス

すごく苦しくて、有栖川の胸を叩くのに離してくれなくて

頭がクラクラした
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