僕様王子に全てを奪われて
「愛子さん? 眠れませんか?」

「え?」

片目だけ開けて、有栖川が心配そうに見ていた

私は首を振ると、壁に寄り掛かって座った

「有栖川…私、有栖川が好きだよ」

「嬉しいお言葉ですね」

有栖川も身体を起こすと、私の隣に座った

壁に背中をつけて、私の肩を抱き寄せてくれる

「嫌い…な、はずだったのに、な」

「人の心は移り変わるものです」

「そうだね
確かに…そう…思う」

「僕の話を聞いてくれますか?」

「え? あ、うん」

私は小さく頷いた

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