僕様王子に全てを奪われて
あー、イライラする

この苛々パワーで、タッちゃん家まで行ってやるんだから

あっという間にタッちゃんのアパートについて、豪華なレストランでディナーよ

タッちゃんに奢ってもらて、ふかふかのベッドを借りて…

ぐっすり眠って、そのまま記憶喪失になってやるんだから

「愛子さん、待ってよ」

有栖川に手首を掴まれるなり、ぐいっと後ろに引っ張られた

バランスを崩した私は、どんっと有栖川の胸板に後頭部をぶつけた

「僕に抱かれたい女は確かにたくさんいるけれど…僕が抱きたいと思う女性はその中にいないから」

「だから、何?」

「察してよ、僕の気持ち」

有栖川の熱い息が、私の耳に吹きかかった

気持ちぃ?

有栖川の気持ちを察する?

抱きたい女がいないから…何よ

てっとり早く金を欲しがってる私で用を足したいってこと?

金での繋がりなら、別れるのも簡単だから?

抱きたい女がいないなら、ひたすら我慢しなさいよ

私は関係ないでしょ?
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