僕様王子に全てを奪われて
「無理ね
察してあげられないわ
抱きたいと思う人がいないなら、ひらすら我慢しなさいよ
私は失礼するわ
今日の寝床を確保しないとだから!」

歩き出そうと足を踏み出す私の手首を、有栖川がまたぐいっと引っ張った

「何よ!
まだ、私に用があるの?」

「あるよ」

「だから、何!」

有栖川がにこっと笑って、私の肩を抱きしめた

「今日の寝床、僕が確保するから
今夜は僕と一緒にいてよ」

「嫌よ」

「ご飯もおごるよ?」

「五つ星レストランのコース料理を手配できるのかしら?」

「もちろん」

「寝床は?
どういうところ?
そこらへんのラブホとかなら嫌よ
それに、有栖川の屋敷もイヤ」

「マンションだよ」

「は?」

「仕事の関係で、都内に一つマンションを買ったんだ
そこならいいでしょ?」

金持ちっていいわよね

自宅以外にも家が持てて

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