僕様王子に全てを奪われて
綺麗なワンピースを着て、どんなに着飾っても…

私の心が不細工すぎて似合わない

全然…

似合ってない

「ワタシ……帰る!」

車の窓に映っている自分を目を合わせながら、私は呟いた

「え?」

有栖川が首を傾げた

聞こえなかったの?

私の言葉が?

「帰る!」

視線を上げて、運転席のドアを開けようとしている有栖川を見た

「どこに?」

「あ……そっか」

私は視線を下に落とした

ワタシ…帰る場所が、もうないんだった

私はその場にうずくまった

身体を丸めて、膝を両手で抱え込んだ

帰る場所が…ない

あんなボロアパートでも…私の家だったのに
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