僕様王子に全てを奪われて
有栖川が、私の嫌味ににっこりと微笑んだ

「そういうのは他の生徒さんから、贔屓していると言われてしまうので
僕は遠慮しているんです
ですから、ここでお茶を買いたいと」

「なら好きなのを選べばいいんじゃないですか?」

「飲んだことがないので…」

ペットボトルを飲んだことがない?

そうでしょうね

家に帰れば、使用人が飲み物を用意するもの

家の外に出るなんて滅多にないでしょうしね

何もしてないのに…

何も知らないのに…

華道の家元として、生きていけるなんてズルい男だわ

アナタのせいで、私がこんな惨めな生活をしているなんて

全く思ってもいないでしょうね

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