僕様王子に全てを奪われて
有栖川の目が大きく見開くと、『ぷっ』と噴き出した

ベッドから落ちた有栖川が、お腹を押さえてまた失笑した

くっくっくと肩を揺らしている

「もう…駄目だ」

床を叩いて、有栖川が声を出して笑い始めた

「愛子さんって…面白い」

な…何よ、それ!

「ちょっと、私が面白いんじゃないわよ
空腹になるのを知っていて、食事の面倒も見ずに仕事に行った有栖川のせいでしょ!」

有栖川は笑いを止めると、床に座ったまま私を見上げた

「なら、言ってよ
僕がいないと生きられないって
僕が欲しいって言ってよ」

いや…そこまでは…

なんで有栖川が欲しいって言わなくちゃいけないのよ!

「ご飯がないと…生きられないよぉ」

私はベッドに横になると、口を枕に押し付ける

「有栖川がいないと…死んじゃう」

ものすっごい小さい声で……しかも枕に声が吸収され、ほとんど聞き取れないほどだった

それなのに

有栖川の顔はみるみる嬉しそうな笑顔に変化していった
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