僕様王子に全てを奪われて
「お金を出さなくてもいいわよ」

「出さないときは、どうするんですか」

有栖川の目が据わっている

ああ…なんか不機嫌を極めたって感じ?

「竜ちゃんに出してもらう」

「却下」

「有栖川が出してくれないなら、そうするしかないし
あ…それとも私の体で稼いでも…」

キャミの肩ひもを腕のほうに落としてみる

「僕を怒らせたいんですか?」

「もう怒ってるのに?」

「これ以上、怒らせたいんですか?」

「だって許してくれないから」

「許せるわけないでしょう」

「どうして?」

「『どうして』って聞くんですか?」

有栖川がテーブルを叩いて、立ち上がった

目がつり上がっている

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